設立趣意書

とちぎ未来ネットワーク(FTN)設立趣意書

100年に一度といわれる大不況が世界と日本を覆ってから1年以上が経過した。過去において、政府の緊急経済対策により、「最悪の事態は脱し、景気は次第に持ち直しに向かっている」という楽観的な見方も一時期には出てきていたものの、雇用、家計収入等の指数は大きく落ち込み、依然として改善できない状況が続いている。

このような状況下、栃木県は輸送機器、情報機器、電気機器といった輸出関連産業の構成比率は他県に比較して高いため、非正規労働者の失職や、正規労働者の人員整理などが他県より高めの人数で推移してきており、県民生活に与える影響は大きなものとなっている。
そのため、県民が一体となり、「地域課題解決に向けた新たな取り組み」、すなわち、栃木県における新分野開拓を含む地域の課題を解決するための新たな産学官の緊密な連携を今こそ立ち上げ実現する必要があると強く訴えるものである。

栃木県内には、栃木県産業技術センター、栃木県産業振興センター、19の高等教育機関から構成される大学コンソーシアムとちぎをはじめ、栃木県北東部産業交流会や鹿沼ものづくり研究会など当該地域独自の7つの連携組織が形成されており、様々な産学官連携活動を展開している。
各組織がその役割を十分に果たしていることは論ずるまでもないが、現状は小地域におけるやや似通った同種分野の連携活動である。
現在から将来において求められる連携の形態は、これまでとは大きく異なり、内容・分野が異なる異分野連携の推進が必要であろう。
「異分野連携」によってはじめて新分野(フロンティア)の創出・開拓ができるのであり、斬新なアイディアが引き出せることを考えれば、今こそ、他県には見られない栃木県独自の異分野連携活動を促進できる新たな連携組織の立ち上げの必要性を痛感するものである。

既存の組織体制では、いままで誰も着想できず、誰も気づかない斬新で有効な手法や全く新しい技術・アイディアは生まれ難いと考えられる。
日頃から縁遠い関係にある異分野の原理原則を他分野に組み込んで適用し、全く新たな内容の創出が期待できる。そのためには、先ずは人材の交流(サロン)、人と人との関わりを通じて情報交換し、互いに異分野の組み合わせ作業を経て、新たな発想・着想を期待したい。同種分野の連携からなる既存組織の現状を維持・温存しつつ、新分野(フロンティア)の開拓のために、既存組織を前後左右・縦と横に結ぶ新たな連携(ネットワーク)の構築が求められる。

この新たなとちぎ未来ネットワークは、他県には見られない栃木県独自の組織であるべきであり、基本的に異分野の交流と自由な発想をもつ個々人の交流を基本とする。このことから、従来型の団体組織ではなく、分野を異にする多様な知識や多様なノウハウ、多様な経験をもつ個人会員から構成されるところに特長がおかれる。
個人の交流を基本としているが故に、ネットワークとして「交流の場」を設定したい。

このような異分野連携を促進し、新分野を創出するネットワークにおいて、交流・情報交換の場が提供され、これまで実現できなかった新たな産学公連携の取り組みが可能となる。
栃木県におけるネットワークは新しい全国モデルとなり得ると確信する。

さらに、この新たな連携モデルに学生が参加することにより、異分野に抵抗感をもたない若者の育成、すなわち、異分野連携に強い人材の育成が期待できる。異分野連携に強い人材の育成が栃木県には必要であり、このことが大きな特色の一つにもなり得る。

新分野(フロンティア)の創出と人材の育成による地域の活性化の促進、具体的には、異分野連携の推進による新しいアイディアの創出、新技術の創出、医工連携、農商工連携の推進、低炭素社会を核とした循環型社会の形成など、栃木県の地域社会が抱える課題の解決、中小企業の技術力の底上げ、若い人材の育成を目的とした新たな組織として、「とちぎ産学官連携組織=FTN(とちぎ未来ネットワーク)」を結成するものである。

FTN(とちぎ未来ネットワーク)は、自治体、産業界、大学、ボランティア、NPOなどの有志による相互理解と意見情報交換が行われる個人参加のオープンな人的ネットワークである。
個々人が、肩書・立場・産学官の枠組・年齢等を一切捨てて参加することにより、まったく自由な意見交換,多様な分野間の情報交換、新しい協力・支援体制の組み合わせと、そこから出される発見、多様な技術の新たな活用の模索等々が可能になる。

とちぎ未来ネットワーク(FTN)は、栃木県における新たな地域おこし、産業の振興、見識の広い人材の育成のための新しい「場(サロン)」を提供するものである。

以上


平成22年7月7日

FTN設立発起人  (敬称略・順不同)

進村 武男 (大学コンソーシアムとちぎ 理事長)
福田 富一 (栃木県知事)
板橋 敏雄 (社団法人栃木県経済同友会 筆頭代表幹事)
小林 辰興 (株式会社栃木銀行 代表取締役会長)
佐藤 栄一 (宇都宮市長)
藤沢 智  (株式会社足利銀行 代表執行役頭取)